女性消防団情報ポケット
女性消防団員の活動紹介
須賀川市消防団
須賀川市消防団女性班部長の増子理江子です。
初めに、須賀川市のPRをさせていただきます。須賀川市は、令和6年3月31日をもって市制施行70周年を迎えました。人口は約74,000人、福島県のほぼ中央に位置し、西に那須連峰、東に阿武隈高地の山並みを望み、市内中心部を阿武隈川と釈迦堂川がゆったりと流れる自然環境に恵まれたまちです。
須賀川市と言えば、美しさも規模も世界最大級の「須賀川牡丹園」。百花の王と言われる牡丹が、広さが東京ドーム3倍の園内に、290種7,000株が優雅に咲き誇ります。
8月には、釈迦堂川花火大会が開催され、音楽創作花火や尺玉の競演など、一万発の花火が夏の夜空を彩り、その規模の大きさと美しさに、全国各地から観光客が訪れます。
11月には、日本三大火祭りのひとつである「松明あかし」が開催され、その歴史は古く、戦国時代のドラマが秘められています。コロナ禍で中止となった年もありましたが、最盛期には松明が30本設置されたほか、直径2m・長さ10m・重さが3tにもなる「大松明」を若人が人力で運び建てる姿は、非常に迫力があります。
また、須賀川市は米や野菜・果物も豊富です。中でもきゅうりの収穫量、出荷量は日本トップクラスで、須賀川の名産としてきゅうりの絞り汁を麺に練りこんで作る「かっぱ麺」も大人気です。
次に、須賀川市消防団女性班について説明します。須賀川市消防団は、団本部と各地域に13の分団が配置され、女性班は団本部に直結した組織です。女性班設立までの背景としては、平成29年4月1日当時、消防団員定数は1,221名でありましたが、実団員数は1,103名であり、約100名の不足分を埋める狙いで、女性団員の募集が掛けられました。その結果、女性消防隊経験者が3名、市職員が2名、一般公募で2名の合計7名が、平成29年6月1日に消防団長から辞令を受け、須賀川市消防団女性班が誕生しました。現在は、団員も12名に増え、防災訓練での初期消火指導、「応急手当普及員」として心肺蘇生法の普及、松明あかしや大型商業施設での火災予防啓発活動などを行っています。
まず、初期消火指導では、自分たちのスキルを磨くため消防署へ出向き、初期消火訓練の実務と教え方のコツを消防署員に指導いただいています。指導内容は、①火災を発見したらまず大きな声を出して周りに知らせること。②火の高さが自分の身長より高かったら消火は諦め逃げること。③消火器の使用する際は、「ピン・ポン・パン」と声に出し、擬音とともに使用方法を指導することを学びました。実際に須賀川市防災フェアでは、集まった子供たちや家族に水消火器を用いた初期消火訓練を行い、とても好評でした。
また、現在12名の団員のうち8名が「応急手当普及員」の公的資格を取得し、消防署員と共に心肺蘇生法やAEDの使い方を指導しています。ただし、地域にあるAEDは公共施設に設置されているため、夜間や休日は鍵が掛かっており使用できません。救急車が到着する平均8分間に命のバトンをつなぐためには、一人でも多くの地域の方に胸骨圧迫を普及したいと活動しています。最近では、各地域の自主防災組織や各団体、コミュニティセンターなどから依頼があり、各地域住民、中学生・高校生、女性団体などに指導しています。
さらに、須賀川市は住宅用火災警報器の設置率が低い状況です。現在、高齢などを理由に自分で設置できない方に対して、要請があれば購入費用は実費となりますが、消防署員が代わりに購入し設置するサービスも行っています。また、住宅用火災警報器の電池は約10年で交換時期を迎えます。設置してもいざという時に鳴らなければ意味がありません。こちらも併せて周知していきたいと考えています。
最後に、女性班では年に数回会合を開き、行事予定や今後の活動について意見交換をしています。つい先日、会合で出された内容を紹介してまとめにしたいと思います。
①女性班全員が応急手当普及員の資格を取得し、一家に一人は胸骨圧迫ができるよう心肺蘇生法を広める。
②心肺蘇生法を指導する際、映像の他に、病人・家族・近所の人・消防職員などの役割の台本をつくり、芝居仕立てで指導できるようにする。
③年に1度は消防署へ出向き、初期消火訓練のスキルを磨く。
④万が一の災害に備え、避難所での支援活動を女性目線の観点で、体調管理や子供たちのケア、ペットのことなどを検討する。
⑤ラッパ吹奏など特技のある方や子育てが終わりボランティアに興味のある方を積極的に募集する。
⑥防災フェアなど人が集まるイベント時に、女性班の活動紹介や女性団員の掲示板を作成する。
そして、将来的には須賀川市消防団に女性団員を20名規模にして、班から分団に昇格することを目標に、女性班部長として積極的に活動を展開していきたいと考えます。